日時: | 2007年6月28日(木) 14:00〜 |
場所: | 構造棟セミナー室AB |
演者: | 新海 暁男(放射光システム生物学研究グループ 機能解析第1研究チーム) |
演題: | 高度好熱菌Thermus thermophilus HB8株における構造・機能ゲノム科学 |
要旨: |
高度好熱菌Thermus thermophilus HB8は、85℃でも生育できる好気性真
正細菌である。本菌株由来の多くのタンパク質は高い安定性を示すので、構造・
機能解析に適している。さらに、本菌株は、ゲノムサイズが約2 MBpと比較的小
さく、遺伝子数も約2,200個と比較的少ないにも関わらず最少培地でも独立して
生育できるので、基本的な生命現象を解明するための格好のモデル生物と考えら
れている(http://www.thermus.org)。 本プロジェクトではこれまでに大腸菌で発現を試みた約2,060種類のタ ンパク質のうち、360個の立体構造を明らかにしており、他の研究グループの成 果も合わせると、現時点で、全ORF数の約21%に当たる466個のタンパク質の立体 構造が明らかにされている。T. thermophilus HB8は、全ORF数に対して最も高い 割合で構造が明らかにされている生物である。 本プロジェクトでは、立体構造解析に加え、遺伝子破壊株における全 mRNAの発現レベルやその他の表現系の違いを解析するといった、機能ゲノム科学 的な手法を用いた機能解析も行っている。筆者らは、「転写」を切り口として、 T. thermophilus HB8株における生命現象の解明に取り組んでいる。今回は、 cAMPと結合して活性化される転写因子、cAMP receptor protein (CRP)の機能 を紹介する。 |
RMF世話人まで(宮野構造生物物理研究室:堀 PHS3375)